私には、高校生のときにいった海外ボランティアで知り合い、今も連絡を取り合う外国の友人がいます。その友人が、日本で働きたいと考えていることを知り、日本で働くにはどうしたらいいかを調べました。この記事は海外の方が利用できる制度や主な職種についてを共有いたます。
外国人技能実習制度について
これまで日本では、外国人労働者が日本で特定の職種で技能や技術を学ぶための制度として外国人技能実習制度を実施してきました。この制度を活用することで、日本の企業は外国人労働者に最新の技術や知識を指導することができ、一方で外国人労働者は実務経験を積むことができます。
外国人技能実習制度は、各職種ごとに作業内容や研修期間、技能習得のポイントなどが明確に定められており、双方にとってメリットのある制度と言えます。
外国人技能実習制度は2024年3月に廃止になり、同年6月14日にこれに代わる外国人材の新制度「育成就労」の新設等を柱とする改正出入国管理法などが参議院本会議で賛成多数で可決・成立したそうです。この改正法の施行は、移行期間も含めて2~3年を予定しているようなので、今回は従来の外国人技能実習制度を前提としたお話です。
外国人技能実習制度の概要
制度を利用するには、外国人労働者が技能実習生として日本で働くための資格を取得する必要があります。また、外国人技能実習生の受け入れを希望する日本の企業は、厚生労働大臣による認定を受けることが必要です。
技能実習生は、最大3年間の期間限定で日本での研修を行うことができます。
この制度は、技能実習生が技能を習得し、その技能や知識を持ち帰ることで、自国の産業発展に貢献することを目的としています。また、日本の企業は、専門的な技術やノウハウを持つ外国人労働者を受け入れることで、国際競争力の強化や人材不足の解消につながるとされています。外国人技能実習制度は、外国人労働者と日本の企業が双方に利益をもたらす制度と言えます。
技能実習生が従事できる職種一覧
外国人技能実習生は、多岐にわたる職種での技能習得が可能です。下記は主な例をいくつかあげてみます。(※全てではありません)
農業関係の職種と作業
野菜や果物の栽培管理では、土作りや種まきから始まり、管理作業、病害虫の防除、収穫作業まで幅広く経験を積むことができます。
農業機械の運転やメンテナンスも重要な技術の一つであり、トラクターや田植機、収穫機などの操作や手入れの方法を習得します。さらに、施設栽培では、ハウス栽培や水耕栽培などの栽培技術や管理方法を学ぶことができます。
また、近年注目を集める有機農業や温室栽培など、環境に配慮した農業技術や作業にも携わることが可能です。農業関係の職種では、四季折々の作業や植物の生育を通じて自然と触れ合い、新たな技術や知識を習得できる環境が整っています。農業に興味を持ち、実践的な経験を積みたい方にとって、外国人技能実習制度は貴重な機会と言えるでしょう。
漁業関係の職種と作業
漁業関係では、主に漁船での作業に従事することが一般的です。漁業実習生は、漁船での操業や魚の加工作業を通じて漁業の基礎技術や実務的なスキルを習得します。
漁業実習生は、船上での漁獲作業や網の張り替え、メンテナンス作業、漁具の製作や修理などの様々な作業に従事することがあります。また、漁獲された魚介類の選別、清掃、冷蔵保存などの加工作業も含まれます。
漁業実習生は、海洋環境における安全な船上作業や漁業の基本的な知識を身に付けるとともに、協力作業やチームワークの重要性も学びます。漁業関係の実習では季節や天候による海の状況に柔軟に対応する能力も求められます。
漁業実習生は、海洋漁業における基本的な技術や知識を習得し、安全かつ効率的な船上作業や漁獲、加工作業に従事することで実務経験を積むことができます。外国人実習生にとって、海洋漁業は貴重な技術習得の機会であり、日本の漁業への貢献が期待されています。
建設関係の職種と作業
一般的な大工や左官といった職種から始まり、鉄筋組立や足場組立などの専門職に至るまで、建設現場で必要とされる様々な技術を習得することができます。建設業界では、高い技術力と安全性が求められるため、外国人技能実習生は熟練の職人から指導を受けながら実践的な技術を身につけます。
建設作業には、基礎工事から上棟、屋根・外壁施工、内装仕上げ、設備工事など幅広い作業が含まれます。例えば、大工の場合には、木材の測量や切削、組み立てなどの基本的な作業から、家屋の骨組みや土台、柱などの建築に関わる高度な技術を習得します。また、左官では、壁や天井の下地処理から仕上げまで、美しい仕上がりを求められる職種です。
足場組立では、高所での作業が必要となるため、安全性を重視した正確な組立作業が求められます。鉄筋組立においては、建物の鉄筋コンクリート構造を支える鉄筋の積層や溶接など、建築物の強度を支える重要な作業が含まれます。外国人技能実習生は、これらの職種において高度な技術を習得し、建設現場での重要な役割を果たします。
食品製造関係の職種と作業
この職種では、食品工場における様々なプロセスでの作業が含まれます。例えば、食品の製造ラインにおける加工作業や検査作業、包装・梱包作業などが主な業務となります。
食品の製造ラインでは、食材の仕分けや洗浄、切断、調理などの工程があり、これらを機械を使用して行う技術が求められます。また、製造された食品の品質検査や衛生管理も重要な役割となります。
さらに、包装作業では食品の保管方法や衛生管理についての知識が必要であり、正確な梱包作業が求められます。食品製造関係の職種では、衛生管理、品質管理、機械操作など様々な技術を習得することができます。日本の食品製造業の高度な技術を習得することで、実習生は自国における食品工場の技術革新に貢献することができます。
繊維・衣服関係の職種と作業
洋裁や縫製、染色や加工、製品の仕上げ、品質管理など多岐にわたる作業に従事することができます。縫製作業では、裁断から縫製、仕上げまでの工程を経験し、布地の種類や縫製方法、縫製機の取り扱いなどを習得します。染色や加工の分野では、布地や糸の染色技術や特殊加工技術を身につけることができます。製品の仕上げにおいては、ボタン付けやプレス作業など、製品の仕上がりを美しく整える技術を研鑽します。
品質管理においては、製品の検査や不良品の取り扱い、品質改善のための取り組みなど、製品の品質を維持し向上させるための重要な業務に携わることができます。また、洋裁の技術やデザイン力を生かし、新たな製品の企画や製作にも関わることが可能です。繊維・衣服関係の職種に従事する外国人技能実習生は、日本の伝統的な技術から最新の製造技術まで幅広い知識と技能を身につけることができるでしょう。
機械・金属関係の職種と作業
機械・金属関係の職種では、工作機械運転や金属加工、溶接作業などの技術が含まれます。工作機械運転では、旋盤やフライス盤を操作し、金属加工を行います。溶接作業では、鋼材やアルミニウムなどの溶接を行い、構造物や部品の製造を行います。これらの職種では、正確な測定や材料の扱い方、安全な作業手順などが重要となります。外国人技能実習生は、これらの作業を通じて高度な金属加工技術や製造技術を修得することができます。
その他の職種と作業
外国人技能実習制度では、上記の職種に加えて、その他にも多くの職種で技能習得が可能です。
2024年7月現在、90職種165作業での技能習得が可能です。
企業と外国人技能実習生の実状
企業側では外国人を企業が雇い入れる件数は年々増加しています。多くの企業は監理団体を通じて技能実習生を受け入れる「団体監理型」を利用しています。監理団体は、技能実習生の受け入れに関する手続きや実習生の生活支援を行い、企業の負担を軽減する団体です。会社ではサポートしきれない部分を管理してもらうことで、手続きのミスや実習生のケアを代行してもらっています。
実習生側では、環境の違う異国で働くには大きな不安やストレスを抱えてしまい、仕事が思うように続かない・日本での就労をあきらめてしまう、途中帰国や失踪してしまうなどの問題を抱えているケースも少なくないようです。
双方の悩みを解決する監理団体「World Link」
前述した監理団体は、企業側が求める人材を紹介し、実習生を継続してサポートすることで、両者の契約関係を仲介している大事な機関ともいえます。
私が調べていて気になったのは、兵庫県で技能実習生の育成や企業への人材紹介を行う、World Link技能交流事業協同組合です。最初の理由としては、海外の友人が知り合いが近くいた方が心強いということで、大阪府・兵庫県あたりを希望していたためです。
World Linkでは途中帰国ゼロ、失踪ゼロを目指して企業と実習生のマッチングを行っています。渡航・面接から実習生の企業様への配属までは約半年ほどだそうです。日本語の教育はもちろん、就業に必要なスキルの教育や、企業とのマッチングなどを全面的にサポートしてくれて、終業後も週に1~2回スタッフが寮へきて、いつでも相談が出来る機会を作ったりと手厚く見守ってくれます。
World Link技能交流事業協同組合のホームページ
World Linkの信頼性
近年、ブローカーによる外国人技能実習生への搾取が問題となっており、それが原因で実習生の逃亡や失踪が後を絶たないという話も調べると出てきました。一方World Linkではこうしたトラブルの対策として、実習生を送り出す祖国の送り出し機関もまた重要と考えて、実習生の立場に立った適切な対応がとれる送り出し機関と協定を結んでいるそうです。これにより、技術習得を希望する実習生が安心して入国でき、企業にも貢献できるよう様々な取り組みを行えるということですね。
送り出し機関と連携し、日本で就業している間に実習生の日本語習得支援や、帰国後もなお就職支援をして、高い給料で仕事が出来るように配慮してくれるようです。
最後まで実習生を見守り育ててくれる組合だということがわかります。実際に従事している人数の一番多い農業でも失踪者が出ていないということも信用材料ではないかと思います。
まとめ
外国人技能実習制度における職種と作業内容についてまとめると、多様な職種がこの制度の対象となっています。建設業、製造業、農業、サービス業など幅広い分野の職種が含まれており、それぞれの職種に特化した技能や作業内容が定められています。一方で、外国人労働者が途中帰国や失踪をしてしまう事例も多くあるので、WorldLinkでは全面的に実習生が帰国しても職に困らないようにしっかりサポートを継続してくれる組合として、信用が出来そうです。もし身近で日本への就労を考えている方が身近にいらっしゃいましたら、少しでも参考になれば嬉しいです。